経営者の孤独は、"弱さ"ではなく"構造"の問題です
- 市原孝(くるるの扉)

- 7月8日
- 読了時間: 4分
ようこそ、くるるの扉へ。
眠れない夜に、頭のなかで同じ問いが何度もめぐる。撤退すべきか、続けるべきか。あの人を、どう処遇すべきか。この事業を、誰に託すべきか。
大きな決断を前にしたとき、その迷いをあなたはいま、誰に話せているでしょうか。
夜、目が覚めてしまう
経営者の方が夜に目を覚ますのは、多くの場合、「この決断を間違えたら、取り返しがつかない」という重圧と、「それを、誰にも相談できない」という孤独が、同時に押し寄せてくるからです。
それは、体を休めれば回復する疲労とは、種類が違います。休んでも、問いは消えません。むしろ、静かな時間ほど、その声は大きくなります。
相談できる相手がいないのは、あなたのせいではありません
「なぜ、こんなことを一人で抱えているのだろう」
そう感じるとき、多くの方がご自身を責めてしまいます。
けれど、これはあなたの弱さの問題ではありません。構造の問題です。
役員に話せば、動揺が組織に伝わります。家族に話せば、心配をかけます。同業の仲間には、手の内を明かせません。顧問や専門家は、それぞれの領域の"正解"は教えてくれますが、あなたの内側にある迷いそのものには、触れてくれません。
立場が上がり、背負うものが大きくなるほど、本当のことを話せる相手は、静かに減っていきます。孤独は、あなたが選んだものではありませんが、まるであなたの社会的な成功の税金のように、あなたに付いてくるものなのです。
連続的で合理的な予測が不可能な現代において、どんな決断にも、一昔前には重宝されていた、いわゆる「正解」が用意されていないことも、あなたの重圧と孤独に拍車をかけています。
矛盾する課題を同時に抱えたまま、それでも一歩を選ばなければならない。その重さは、どんなに頭をはたらかせても、消すことはできません。
そして、たとえ決めたとしても、ふとした瞬間に「あれで、よかったのだろうか」と、また揺り戻される。決断の後にも続くこの揺れが、静かに、あなたの力を奪っていきます。
必要なのは、もっと多くの情報でも、誰かの承認でもありません。決めた後に揺れない、肚(はら)落ちの感覚です。
孤独は、消すものではなく、"聴く"もの
現代には、経営者を支える素晴らしいサービスがたくさんあります。
目標を明確にし、行動を加速させるエグゼクティブ・コーチングや、心の負担を和らげ、メンタルを整えるエグゼクティブ・カウンセリング。
これらは、不確実な時代を生き抜く経営者にとって、非常に有用で心強い存在です。
しかし、「くるるの扉」が目指すのは、それらとは少し異なる角度から、あなたの孤独と向き合うことです。
私たちは、前進するための行動計画を立てることも、痛みを癒やすための治療をすることもしません。なぜなら、その孤独を、消し去るべきネガティブなものだとは考えていないからです。
むしろ孤独は、時代や環境の大きな変化をいち早く捉える、あなたの最も鋭敏なセンサーを磨く環境でもあると考えています。
大切なのは、そのセンサーが感じ取っている重圧や迷いに、静かに耳を傾けること。
当ラボのプロデューサー・睦月は、「影となる声があるからこそ、光の側面が成り立っている」と考え、皆様の光と影の双方の声を聴かせていただくことを願って活動しています。
効率や成果、あるいは正しさという枠を取り払い、抑え込むのでも、無理に打ち消すのでもなく、その声をただ聴くところから、大局的な洞察は生まれます。
ひとりで抱えないために
もし、いま、後戻りできない決断を、相談相手のいないまま一人で抱えているのなら。
その重さを、一度どこかに下ろしていい時間があってもいいのではないでしょうか。
「くるるの扉」は、あなたに答えを渡す場ではありません。
コーチのようにあなたを引っ張ることも、カウンセラーのようにアドバイスをすることもありません。ただ、あなたが、あなた自身の本音にたどり着き、納得して次の一歩を選べるよう、異なる専門性を持つ二人がそっと伴走する場です。
孤独の中にかすかに聴こえてくる自分自身の内なる旋律に耳を傾ける、そのお手伝いをするために私たちはあなたのお越しをお待ちしております。


