占いとしてではなく、易学として。 なぜ、経営者の意思決定に「易」を用いるのか?
- 市原孝(くるるの扉)

- 7月5日
- 読了時間: 5分
更新日:3 日前
ようこそ、くるるの扉へ。
「易学」という言葉を目にしたとき、多くの方が思い浮かべるのは、おそらく「占い」ではないでしょうか。
一般的に占いは、当たるのか、当たらないのか。吉と出るのか、凶と出るのか。そうしたイメージかもしれません。
易占いは、六十四卦を用いて特定の問いに答えを見出す、易学の中でも検証可能な実践のひとつとして重要な位置をしめています。
そして、当ラボ「くるるの扉」では、この易という体系を、占いとしてではなく、経営者の意思決定を醸成するための易学として用いています。まず、この違いからお伝えさせてください。
「選択肢が提示される」使い方と、「内側で醸成される」使い方
易は、無意識との対話を通じて選択肢が自分の前に提示されるシステムです。
こうした捉え方は、「易は未来を当てるためのもの」という一般的なイメージとは、少し異なるかもしれません。
しかし易は、未来を言い当てるものというよりも、問いを立て、卦を得て、示された選択肢を実践していくもの、と捉えた方が実際に即しています。
そしてこれは、易を占いとして利用する、正当な使い方のひとつと言えます。
一方、くるるの扉で用いる易学は、これとは異なる目的のために設計されています。
易学は、宇宙や自然、人間社会に流れる変化の法則を数千年にわたり研究してきた「時流を捉えるシステム」です。私たちは、これを選択肢が提示される装置としてではなく、いまのご自身の立ち位置を映し出す「鏡」として用いています。
私は、東洋思想を40年にわたり研究してきました。
その結果「万人が再現できる正解はないものの、大いなる存在と対話しながら自分の人生を生きることはできる」という気づきを得ました。この気づきに基づいて、パートナーである心理の専門家とともにセルフインサイト・セッションの開発に至りました。
ここに、私たちの易学観のすべてが表れています。易は"正解"を教えてくれる神様のような存在ではなく、"自分の答え"に出会うための対話のシステムなのです。
ですから、くるるの扉が用いる易学は、答えを外に求めるのではなく、立てた問いを通じて現れたシンボルを手がかりに、「自分はいま、本当は何を怖れているのか」「何を大切にしたいと願っているのか」を、静かに見つめ直していきます。
答えは、はじめからあなたの内側にあります。易は、それを見えるところまですくい上げるための補助線として機能します。
なぜ、いま「因果論」だけでは決めきれないのか
経営者の皆様は、情報を集める、多角的に考察する、専門家の意見を聞く、シミュレーションする等、出来うる限りのことをなさっています。
その根底には、合理的で理論的な思考がベースになっています。
一方で、「原因があれば結果がある」という直線的論理(因果論)は、激変する現代のビジネス環境、VUCA(予測不能)の時代において、限界を迎えているとも言われています。
もちろん、合理的で理論的な因果論の重要性は変わりません。
けれども、それだけでは割り切れない課題が、あまりにも多いのも事実です。
撤退か、続行か。誰を、どう処遇するか。事業を誰に託すか。
データを集め、論理を尽くしてもなお、最後の最後で「なぜかしっくりこない」と、決断の手前で立ち止まってしまう、そんな経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
それは、分析が足りないからではありません。
必要なのは、矛盾する課題や葛藤を、そのまま包含して読み解くフレームであり、複数の矛盾を同時に扱い、葛藤を超える「非線形的なパターン認識(直感的決断)」です。
そして、その智慧として、東洋の叡智である易学を活用する動きがはじまっています。
易は「問い」を立て直す鏡である
易が助けとなるのは、まさにこの領域です。
「本当は何を問うべきなのか」を見つめ直し、ご自身でも気づいていなかった前提や怖れに、光を当てていく。問いが変われば、決断の景色そのものが変わります。
近年の認知科学では、一見無関係に見える出来事のつながりから意味を読み取る力、心理学者ユングが提唱した「シンクロニシティ」が、混沌への耐性や高いマインドフルネス状態と深く相関し、不確実な状況下におけるトップの戦略的直感や柔軟な意思決定に寄与することが示唆されています。
易学は、この非線形の感受性を、経営の現場で使える形に整えるための、実用的なフレームワークなのです。
意思決定の質は、"内への入力(調律)"で決まる
私たちが大切にしている言葉があります。
意思決定という「外への出力」のクオリティは、自己洞察という「内への入力(調律)」の深さによって100%決まる。
どれほど優れた決断力をお持ちであっても、それを下す"あなた自身"が整っていなければ、その質は上がりません。
だから私たちは、あなたの内側を調律(チューニング)することにこだわります。
易が映し出したものを、認知バイアス(認知の歪み)として心理の視点から丁寧に読み解き、頭での理解を超えた「肚(はら)落ち」、腑に落ちてご自身で踏み切れる状態まで、異なる専門性を持つ二人がそっと伴走します。それが「心理×易学」の中身です。
だから私たちは、答えを用意しません
繰り返しになりますが、私たちがしているのはあなたの外側に答えを用意することではありません。
あなたが、あなた自身の本音にたどり着き、納得して決断を下せる、その状態をともに整えること。それが「くるるの扉」がご提供することの、すべてです。
こういう方に、届けばと願っています
もし、あなたが「答えを教えてほしい」のではなく、「自分自身で、心から納得して決めたい」と思っていらっしゃるなら。
ロジックは尽くしたのに、最後の一歩だけがどうしても踏み出せずにいるのなら。
私たちのアプローチは、きっとお役に立てます。
私たちがご一緒できるのは、ご自身で納得して決めたいと願う方です。
因果論を大切な基盤としながら、その先にある"割り切れなさ"を、ご自身の本音と大局観で越えていく。その静かな時間を、私たちは「くるるの扉」でご一緒しています。


